第3章 通帳記帳をする | 家出人捜索

第3章 通帳記帳をする

彰男さんの場合、口座の動きを見て、秋田から長野に移動したのがわかりました。しかも、家を出て数日間の間に移動をしていますので、定住先がある可能性は低いと判断できますし、今後も長野から移動する可能性は十分にあり得ると予測できます。

また、通帳を記帳してみると、いずれも引き出しにかかる手数料は引かれていません。ということは、彼の口座がある銀行の支店かATMから引き出された可能性がかなり高いということもわかります。

彼の場合、口座は都市銀行のものでしたので、長野県内になる支店なりATMを調べれば、かなり有力な手掛かりとなります。

また、長野でお金を引き出したときに、移動手段が車であると確信しました。
それまでは、「もしかしたら電車かもしれない」と一抹の不安もありました。

しかし、長野で引き出したATMは、あまりにも不便な場所にあったため、電車で移動しているとすれば、まさか駅から歩いていける距離ではありません。

だとすれば、電車で移動していると仮定した場合、駅からバスかタクシーを使って行ったとしか思えません。

では、駅からタクシーなどを使ったと仮定したら、なぜお金を引き出すためだけに、わざわざ駅からバスやタクシーを使ったのでしょうか?

こう仮定していくと、どうしても無理があります。やはり車で移動していると仮定するのが自然でしょう。

いずれにせよ、1日に数回通帳記帳をすることで、いろいろなことが見えてきます。失踪して1週間、2週間では見えないことも、数カ月という期間が経過していくと、このようなデータが意味をもちます。

いつも決まった時間帯に引き出されているのであれば、張り込み調査で家出人を発見できる可能性も高まります。

ですので、引き出された時間を単独で考えるのではなく、移動手段や地域、協力者の存在など、いろいろな情報を組み合わせることで、「なぜこの時間なのか?」という考え方をすると、いくつかの仮説を導き出すこともできます。

ここで大切なことは、あきらめないということです。

大切な人がいなくなって最初の1週間、2週間は緊張や不安もありますし、あきらめではなく「早く見つかってほしい」という願いの気持ちが強いのですが、1カ月、2カ月と経過していくと、「早く見つかってほしい」という気持ちの背後に、「もしかしたら見つからないのでは?」という気持ちが支配してきます。