第2章 「一般家出人」と「特異家出人」
警察は捜索願を受け付けると、家出人を「一般家出人」と「特異家出人」とに分類します。
一般家出人とは、本人に家出の意思があり姿を消した場合をいい、民事事件として警察は積極的に調査や捜索活動はしないと考えてください。
ただし、さきほどもご説明したように、捜索願を出すことで、警察本部のコンピュータのデータベースに、本人の顔写真や名前などの情報が登録され、全国どこの警察でも閲覧が可能となります。
事件や事故ばかりでなく、本人が交通違反をしたり、未成年者の場合、補導をされたときなどにも、捜索願いが出されていれば、警察から連絡がくる確率が高くなります。
なお、捜索願を出すときには、同時に「生存連絡のお願い」を行っておけば、家出人が発見されたときに、必ず警察から連絡が入るようになっていますので、是非忘れないようにしてください。
そういえば、捜索願に関して強く心に残るこんな依頼もありました。
それは、家出をした本人がうつ病で悩んでいたケースです。
家出人は職場の人間関係に悩み、ここ2~3年はうつ病を患い、会社を休むことが多くなっていました。
そんなある日、「ごめんなさい」とメモを残し、家族の前から姿を消したのです。残された家族は、本人が自殺をするのでは?と心配し、とにかく捜索願を出そうということになりました。
しかし、遺書があるわけでもなく、残されたのは「ごめんなさい」のメモだけでした。これでは、捜索願を出しても、はたして警察がすぐに動いてくれるかどうかわかりません。でも、一刻も早く見つけ出さなくては、自殺しかねない状況です。
そこで、本人が家出をする際に、父親の預金通帳と印鑑を持ち出して行ったため、警察には窃盗事件として届け出をしたのです。
すると、警察は事件として捜索を開始し、1週間後に無事に見つかりました。
何とか自殺を未然に防ぐことができたのです。
ただし、このようなケースの場合、本人には前科がついてしまいます。
本人の将来を考えれば、決しておすすめできる方法とはいえませんが、「自殺をするのでは?」と心配されたご家族が、必死になって探し出そうとした想いが痛いほど伝わってくるケースです。



